特許庁から無慈悲に届く拒絶理由通知について解説するシリーズ。特許庁から「拒絶理由通知」というものが届き絶望している。。。そんな方にこそ読んで頂きたいです!
前回では「拒絶理由通知は最終決定ではなく反論可能。あきらめたらそこで試合終了だよ!」というお話をしました。今回は「いつまでに対応すればよいのか?」というデッドライン(締め切り)について説明します。
「拒絶理由通知が出ても内容次第で登録可能性があることはわかった!
じゃあいつまでに対応すればよいの?締め切りとか期限とかないの?」
もちろん応答期限はあります。
拒絶理由通知にはごちゃごちゃと難しいことが書いてありますが初めのほうに↓↓と書いてあります。
「これについて意見があれば、この書面の発送の日から40日以内に意見書を提出してください。」
そして拒絶理由通知の左上をみると「発送日」って書いてありませんか?
「発送日 令和3年4月8日」といった感じで。
この「発送日から40日以内」が応答期限です。
上記発送日4月8日であれば、この日から40日後の「5月18日」がデッドラインとなります。
もしいま拒絶理由通知を手にこのブログを読んでいる方は「発送日」に「40日」を足して応答期限を計算してみてください。
「既に応答期限をオーバーしている。。。(泣)」
という方もおられるかもしれません。
でもあきらめるのはまだ早いです。
この場合、期限日からどの程度の期間が過ぎているかがカギです。
というのも例え応答期限を過ぎていても2か月以内であれば後から延長手続が可能だからです。少しわかりづらいのですが具体例で考えてみましょう。
「発送日 4月8日」で応答期限日は「5月18日」だった。ただこの点に気づいたのが「6月20日」で期限日を既に過ぎていた。
この場合は、気づいた後に延長を手続することで「5月18日」が2か月延長され「7月18日」が延長後の応答期限となります。
つまり「応答期限を過ぎていても経過期間が2か月間以内であれば延長可能」なんですね。一般的には締め切りを過ぎたら問答無用でアウトなことが多いと思いますが、商標の拒絶理由通知は期限後2か月までは救済される余地があるという優しい世界です。
延長される2か月の起算日がもともとの応答期限日である「5月18日」(発送日から40日)だという点に注意してください。
なお「5月18日」(応答期限日)を過ぎる前であれば1か月の延長が可能です。この場合、延長後の期限は「6月18日」となり、更に2か月延長できるので最終的な応答期限は「8月18日」となります。応答期限日を過ぎる前であれば最大3か月間延長が可能ということです。
まとめると以下の通りです。
・応答期限は発送日から40日。
・応答期限日前であれば最大3か月延長可能(1か月+2か月)。
・応答期限日経過後も2か月延長可能。
・延長にかかる特許庁費用: 1か月→2,100円 2か月→4,200円
以下も併せてご覧ください(ややわかりづらいかもしれませんが)。
特許出願及び商標登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用の変更について(平成28年4月1日開始)https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/letter/kyozetu_entyou_160401.html
ということで拒絶理由通知の発送日ベースで考えると期限延長をうまく使うことで発送日から最大4か月ちょっとの時間を確保できます。また応答期限を過ぎてしまっても2か月までなら後から延長可能です。
「その2か月の延長を考えてももう期限ギリギリなんだけど(絶望)。さすがにこれではお手上げですよね。。。??」
という方もいるかもしれません。上記の「発送日 4月8日」の例で言えば「7月18日」(二か月延長した場合の応答期限日)に気づいてしまった場合とか。。。
それでも特許庁への対応を希望する場合は担当審査官と交渉することが考えられます。
審査官次第ではありますが、裁量により少し応答期間を猶予してもらえることもあるからです。「期限を過ぎたら即アウト」といったガチガチな運用ではないと思われますので(2021年4月時点の印象)審査官のご厚意に甘えすぎるのはいけませんが、応答する意思があることを真摯に伝えお願いしてみる価値はあると考えます(このようなケースでお困りでしたら弊所までお気軽にご相談下さい。具体的にアドバイス致します。)。
以上、拒絶理由通知の応答期限について掘り下げて解説しました。
次回は拒絶理由の内容にはいっていこうと思います。