「商標とはなにか?」をやさしく解説するシリーズ。商標ビギナーの方も通して読むことで大雑把に商標のことを理解できる。そんな内容を目指してます!
今回はきっと皆さんもどこかで見かけたことがあると思われるこの↓↓マーク、「Rマーク」と「TMマーク」について解説します。
「こちらのマーク↓とどう違うの??」と疑問に思われる方もいるでしょうが↓は「Cマーク」と呼ばれるもので「著作権」を意味します。Cは「著作権」の英語「Copyright」の頭文字ですね。
もしRマークに見覚えが無いという方がいたなら、何でも良いので家の中にある商品を手に取ってみてください。ペットボトルでも食パンでもカップラーメンでもシリアルでもハムなんでもいいので、商品を手にとり商品名の右上or右下あたりを見てみてください。その中に↑のRマークが表示されているものがあると思います。
我が家の冷蔵庫内を捜索したところ「タバスコ」にRマークがついてました。
自分で撮った写真だけど「老眼の入り口」くらいにいる我が身にはちょいときついね。。。
ではこのRマーク、一体どういうものなのでしょうか?
1.Rマーク
これは「登録商標」を意味する「Registered Trademark」のRです。
つまりRマークがついている場合、ただの商標ではなく「登録商標」であるということです。
「登録商標ってなんなの?」という方はこちらをご覧ください。
Rマークがついているのは誰かの「登録商標」なので、無断で使用すると「商標権侵害」を主張されるおそれがあります。
注意したいのがRマークは「登録商標」であることを示すものなので、登録前の商標、つまり出願中の商標には表示できないということです(もちろん出願していない商標にも使えません。)。早くRマークを表示したい気持ちはわかりますし、実際お客様からも「早く付けられない?」「もう付けちゃだめ?」とご質問頂くことありますが、くれぐれもフライングにならないようご注意下さい。未登録で表示してしまった場合の罰則規定もありますよ。
また登録商標についてRマークの表示義務がある訳ではありません。
「Rマークがついてないもの=未登録商標」ではないということです。実際にはRマークを表示せずに使用している登録商標もたくさんあります。
その為、登録商標かどうかがわからない際には確認する方が確実です。
まとめるとRマークの注意点は以下の通りです。
(1)登録商標のみが表示可能。ただし別につけなくても良い(義務ではない。)。
(2)登録していないのに表示したらダメ。
(3)どこに表示してもよいが表示対象のマークとの関係を明確にする(他のマークへの使用だと誤解されないように注意)。
(4)外国に輸出する商品については表示すべきか慎重に検討すること。
↑の(3)ですが登録商標の右上でも右下でもどこでも好きな位置に表示可能です。
ただしあまりに商標と離して表示したり、他のマークと近づけたりすると「どれが登録商標?」という紛らわしい状況になるので気を付けて下さい。
また(4)ですが、原則、商標権の効力は、商標を登録した国の中でしか及びません。具体的に説明すると、日本の登録商標の効力は国内全域、宗谷岬にも沖ノ鳥島にも及びますが、国外には及ばず、例えばアメリカや中国では何の効力もありません。アメリカ、中国で商標を保護したいのであれば各国毎に商標登録を取得する必要があります。
「日本の登録商標→日本でRマークを表示可能」ですが、外国でビジネスを行っている際には注意が必要です。例えば日本で販売している商品がそのままの包装で外国に輸出されているとして、その輸出先の国で商標を登録していなかった場合、「その国で未登録なのにRマークを表示」していることになってしまいます。そんなつもりはなかったのに虚偽表示になってしまう訳ですね。
このような事態を避けるため、日本と外国で(同じ包装で)流通する商品については注意が必要です。各国毎に包装を分けるのであれば問題を回避できますね。
2.TMマーク
次にTMマークについて説明します。
これは「Trade Mark」の略称です。Rマークの「Registered」が無いので単なる「商標」です。よって、TMマークは登録していない商標にも表示可能です。Rマークほど有名ではありませんが見かけたことがある人もいるんじゃないでしょうか?
登録有無、出願有無にかかわらず「商標」であることをアピールするために表示することが出来ます。ただしTMマークにはそれ以上の意味はありませんので、例えTMマークを表示して使用していても、他人が先に商標出願をしてしまった場合、非常に不利な立場にたたされてしまいます。自分だけがそのマークを使用したい場合には、早期に商標出願を行うことがとても大切です。
TMマークの効力として、今までになかった新しい商品の場合、その商標が普通名称化してしまうことを防止する効果が期待できます。また、同じ包装で外国に輸出される商品の場合、TMマークを表示しておけば、未登録の国に輸出しても虚偽表示に該当することはなくなります。状況次第ではRマークではなくTMマークを選択することもアリだと思います。
このように皆さんが何気なく目にするRマークとTMマークにもそれぞれに意味があります。せっかくなので登録商標を所有している方はRマークを積極的に表示することをご検討下さい。権利侵害の抑止力になったり、「登録商標」であること自体が意外な宣伝になることもあると思います。
なによりちょっとかっこいいですよね!ちゃんとしてる感じ?がしますよね(語彙)。
「Registered mark」の「R」の意味を知るとなおさらだと思います。
登録商標を持っている権利者の皆様におかれましてはぜひとも積極的にRマークを表示して頂きたいと思います。