「商標とはなにか?」をやさしく解説するシリーズ。商標ビギナーの方も通して読むことで大雑把に商標のことを理解できる。そんな内容を目指してます!
前回は登録商標に効力範囲があることを説明しました。「ECLIPSE」の例で示したように他の商標と効力範囲が異なれば同じ文字でも(原則)使用可能という話でした。
では「登録商標の効力範囲はどのように決まるのか」について説明します。
まずいくつか有名ブランドの登録商標をみてください↓↓
商標登録第4653825号
国際登録番号1365210A
商標登録第3085606号
3件とも誰でも知っている超有名商標ですね。
ちなみに私はレッドブルよりモンスター派です!推しはキューバリブレ!(どうでもいいわ)
で、↑↑の有名マークを見ると関係する商品・サービスがセットで自然に思い浮かびませんか?
「UNIQLO」→「衣料品」
「Red Bull」→「エナジードリンク」
「クロネコの図形」→「宅配サービス」
「林家ペー」→「林家パー子」
例えば「林家ペー」を見たら自然と「林家パー子」が思い浮かぶように「UNIQLO」と言えば「服」だし「Red Bull」と言えば「エナジードリンク」っていうのがほぼ無意識に想起されますよね。あー翼が欲しい。
実はこれが商標を理解する上でとても大切なポイントなんです。
普通は「商標」と聞いたらロゴや図形の「マークだけ」を思い浮かべると思います。しかし「商標」とは「マーク」と「マークを使用する商品・サービス(役務 ※1)」とが一体になったものです。つまり「マーク」単独では正確には商標とは言えないんですね。
商標=マーク+使用する商品・役務
※1商標の世界ではサービスのことを「役務(えきむ)」といいます。読み方が難しいですよね。
このマークを使用する商品・サービスである指定商品・指定役務が商標の効力範囲を決めています。
上記各商標の指定商品・指定役務を見てみましょう↓↓
商標登録第4653825号
第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」他
国際登録番号1365210A
第32類「清涼飲料,エナジードリンク,他」(soft drinks; energy drinks)
商標登録第3085606号
第39類「貨物車による輸送,貨物自動車による輸送,他」
上記の青字部分が指定商品・指定役務で、これらの文字情報により各マークの効力範囲が決まります。つまり「マークを独占的使用できる範囲」が指定商品・役務により決まる訳で、マーク自体と同じくらい重要なものです!!
例えばですが、上記商標「Red Bull」を商品「清涼飲料,エナジードリンク,他」を指定せずに登録してしまった場合、一番使いたい商品に独占権が発生しないという悲しい状況になります。これでは商標を登録する意味があまりないような。。。
ですから指定商品・指定役務の記載は慎重に検討・選択する必要があります。
指定商品・役務の難しさについてはまた改めて説明します。
ということで、今回は商標の効力範囲は「マーク+指定商品・指定役務」によって決まるという話でした。なので、他人の登録商標の効力範囲を確認するには「指定商品・指定役務」の範囲を確認するようにしましょう(※2)。
ここで鋭い方は「え?ちょっと待って。前回の「ECLIPSE」の話を踏まえると、上記のユニクロやレッドブルのマークは登録商標と違う指定商品・指定役務であれば使ってもいいってこと?」と思われるかもしれません。原則は「ECLIPSE」的な理解で良いのですがユニクロ等の超有名商標の場合は例外がありますので、次回はこの点についてお話します。
※2 「登録商標の効果が及ぶか否か」に関する最終的な判断は弁理士等の専門家に相談するようにしてください。上記の基本的考えに加えて考慮する様々な要素があるためです。