「商標とはなにか?」をやさしく解説するシリーズ。右も左もわからない商標ビギナーの方も通して読むことで大雑把に商標のことを理解できる。そんな内容を目指してます!
前回は登録された商標と未登録商標の違いについて説明しました。
今回は「誰かが先に登録している商標は使っちゃだめなのか?」という疑問にお答えします。
「え?他人の登録商標と同じマークを使ったらマズイでしょ?」と思われる方が多いと思います。新商品の名前として使いたいカッコいい・気に入った言葉があったけどネット検索したら他の人が先に使っていた…。だから採用をあきらめた…というビターな経験がある方もおられるかもしれません。
しかし他人の登録商標と同じでも使用・登録が可能な場合もあります!
わかりやすい具体例↓↓を挙げます。
特許情報プラットフォーム(商標等のデータベース。出願・登録商標を調べることができます。)の「商標検索」で「ECLIPSE」を検索してみます。「ECLIPSE」は「日食、月食」を意味する英語ですね。
特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
その検索結果がこちら↓↓
登録商標「ECLIPSE」の大漁旗!!
↑↑の「ECLIPSE」はすべて登録商標です。ちなみに検索した時点(2021年4月5日)で30件以上の登録商標が確認できました。30件て。けっこうな数ですよね。
なぜこんなにも多数の商標「ECLIPSE」が登録されているのでしょうか?
「登録商標と同じマークを使ってはいけない」というルールであれば「ECLIPSE」の登録はひとつだけになるはずですよね。
これは各登録商標「ECLIPSE」の効力範囲が異なる為です。
前回「登録商標は独占的使用が可能となり他人の無断使用をストップできる」と説明しましたが、これは登録商標の効力範囲での話です。商標「ECLIPSE」を登録したからと言って、文字「ECLIPSE」の使用を無制限に独占できる訳ではなく「独占できる範囲が決まっている」という感じです。
多数の「ECLIPSE」が登録されている↑↑の状況で言えば、各登録商標のそれぞれの陣地(効力範囲)はあるけどお互いに重なり合ってはいない状況と言えるでしょう。
「じゃあ登録商標の効力範囲ってどうやって決まるの?」と思われるでしょうが、それはまた改めてご説明します。
ここで冒頭の質問「誰かが先に登録している商標は使っちゃだめなのか?」に戻りますが
「他人の登録商標であっても効力範囲外であれば(原則)使用可能」
という答えになります。
よって、例え使いたい言葉を先に誰かが使用していても「その商標が登録されているか」「登録されていても効力範囲と自分が使いたい範囲とがかぶっていないか」を確認することで使用・登録できる場合があります。そのため、簡単にあきらめずに詳細を確認しましょう。
ただこの辺りの判断には専門的知識が必要となる場合がありますので弁理士等の専門家にご相談いただく方が良いと思います。宜しければいつでも弊所にご相談下さい。
もし皆さんが「ECLIPSE」を使いたい場合もあきらめないでください!!運が良ければ、また使いたい商品・サービスがニッチなものであれば可能性はあるかもです!
また↑↑で「効力範囲外でも(原則)使用可能」としたのは「例外」があるためです。
具体的には、誰もが知っているような非常に有名な商標の場合、上記原則が適用されない場合がありますので注意してください。この点は改めて説明しようと思いますがお急ぎの場合は専門家にご相談下さい。
次回は「登録商標の効力範囲」について説明したいと思います。