「商標とはなにか?」をやさしく解説するシリーズ。知識ゼロで社内の商標担当になった方(同情します)でも通して読むことでなんとか業務が行えるようになる内容を目指してます!(志低くない?)
第1回では「商標は目印」だという話、第2回、第3回では「どんなものが商標になれるか」という話をしました。
今回は「商標」と「登録商標」の違いを説明します。
「商標は登録されたものとされていないものがあるの?」
「登録されていないと使えないの?」
「どんな違いがあるの?」
などなど。いろんな疑問があると思います。
まずは広辞苑で調べてみましょう(おい)。
商標 → 「営業者が自己の商品・サービスであることを示すために使用する標識。トレードマーク」
登録商標 → 「商標法に基づき、特許庁での登録の手続を経た商標」
さすが広辞苑様!わかりやすい!!
これ以上の説明は不要かもしれない(笑)
広辞苑にある通り、登録商標とは特許庁の審査をパスして登録が認められたものです。
特許庁に登録されていないものは「登録商標」とは言えず、単なる「商標」です。
ただし特許庁に登録されていなくても自分の商品・サービスの目印として使用することは可能です。
では「登録商標」と単なる「商標」とでは何が違うでしょうか。
登録商標には以下のような特典があります。
・日本国内で登録商標を独占的に使用できる。無断使用は差止めることが可能。
・登録商標と同じ商標のみならず似ている商標(類似商標)にも効力が及ぶ。
・後から出願された同じ商標・似ている商標の登録を排除できる。
・登録商標であることを示す🄬マークが付けられる。またはその他の登録商標である旨を(登録番号等)表示可能。
・他人の無断使用に対し損害賠償請求ができる。
特に大きいのは日本全国で独占的使用が可能となる点です。
同じ商標か似ている商標(類似商標)の無断使用を強制的にストップ・排除できる非常に強力な権利です。
また、後から出願された同じか似ている商標の登録を邪魔することが出来ます。
登録商標には独占的権利が与えられるので、同じような効果が重複して他人に与えられると話がややこしくなります。その為、原則「早い者勝ち」で特許庁に早く出願した人に権利が優先的に与えられるルールになっています。
更に🄬マークも表示可能です。
皆さんも見かけたことがあると思いますが🄬マークは「registered」の頭文字、すなわち登録商標であることを示す表示です。🄬マークをつけることで多くの人に「登録商標」であることをアピールすることができます。
なお未登録商標に🄬マークを付けることは商標法上禁止されていますので注意してください。
一方、登録していない単なる「商標」には「登録商標」の上記特典はありません。
よって、後から商標のまねをされても止めさせることができません(※1)。
他人が先に特許庁に出願・登録してしまうと使用することができなくなります(※2)
🄬マークもつけられません。
特に怖いのは、商標を登録せずに使用していて後から他人が登録してしまうケースです。
このような場合、先に出願していないと対抗することはかなり難しく使用を断念せざるをえません(※1、※2 未登録商標が有名等の事情がある場合には対抗できる可能性があるものの、かなりハードルが高いです。ここでは話をわかりやすくする為、このような特殊な事情の説明は省いています。)。
このように商標を登録せずに使用することは高い危険を伴います。
どれくらい危険かというとのび太達がドラえもんの同伴なしで白亜紀にタイムスリップしちゃった。。。くらいの危険度でしょうか(危険すぎない?)。
商標の使用が出来なくなるということは、商標が表示された商品を店舗から引きあげ、カタログ・広告等を廃棄し、ウェブサイトの表示を差し替える等を意味します。場合によっては取引先にも迷惑をかけることになります。また損害賠償を請求されるリスクもあるでしょう。想像するとものすごく大変じゃないですか?
一方で世の中には登録せずに使用されている商標が多いことも事実です。
上記リスクを認識せずに未登録で商標を使用している方は、これを機会に商標登録について検討されることをお勧めします。